GitHubとは?初心者にもわかる仕組みと使い道をやさしく解説 📝
Web制作の学習を始めると、必ずと言っていいほど耳にする「GitHub(ギットハブ)」。なんだか難しそう、黒い画面をカタカタ叩くハッカーみたいな人が使うものでしょ?と感じて、つい後回しにしてしまいがちです。
でも、実はGitHubは、Webクリエーターにとって魔法のセーブポイントであり、世界中の開発者と繋がるためのSNSのような、非常に強力で便利なツールなんです。一度覚えてしまえば、もうGitHubがない開発なんて考えられなくなりますよ!
この記事では、「GitHubって何?」という基本的な疑問から、具体的な使い方、そして初心者が陥りがちな注意点まで、専門用語をできるだけ噛み砕いて、やさしく解説していきます。
そもそも「バージョン管理」って何のこと?
GitHubの話をする前に、まずその根幹にある「バージョン管理」という考え方を理解しましょう。言葉は難しく聞こえますが、実は誰もが経験したことのある、あの悩みを解決するための仕組みです。
例えば、レポートやデザインを作成している時、こんなファイル名がフォルダに溢れかえった経験はありませんか?
design_final.psddesign_final_v2.psddesign_final_本当に最後.psddesign_final_最新版_2.psd
どれが本当に最終版なのか分からなくなり、「やっぱり昨日の状態に戻したい…」と思っても、もう手遅れ。そんな悲劇を防ぐのがバージョン管理です。
バージョン管理システムは、ファイルの変更履歴をすべて記録し、「セーブポイント」を作成してくれます。このセ-ブポイントを「コミット(Commit)」と呼びます。いつでも好きな時点のセーブポイントに戻ったり、過去の変更内容と比較したりできる、まさにコードのタイムマシンなのです。
最大の疑問!GitとGitHubの違いとは?
初心者が最も混乱するのが、この「Git(ギット)」と「GitHub」の違いです。この2つは名前が似ていますが、役割は全く異なります。図で見てみましょう。
あなたのPC(ローカル環境) インターネットの世界(リモート環境)
+-------------------------+ +-----------------------------+
| | | |
| [ Git ] | --- push --> | [ GitHub ] |
| バージョン管理ツール | | Gitの置き場所(サーバー) |
| (セーブポイント作成) | <-- pull --- | (チームで共有) |
| | | |
+-------------------------+ +-----------------------------+
この関係を、身近なもので例えるなら…
- Git: あなたのパソコンに入っている「Microsoft Word」そのものです。文章を書いたり、編集したり、PC内に保存したりするための「道具(ソフトウェア)」です。
- GitHub: 「Google ドライブ」や「Dropbox」のようなものです。Wordで作成した文書ファイルを、インターネット上に保存・共有し、他の人と一緒に編集するための「場所(Webサービス)」です。
つまり、Gitという道具を使ってファイルのバージョン管理を行い、その記録を保存・共有する場所がGitHub、と覚えておけば間違いありません。
GitHubの具体的な使い道ベスト3【初心者向け】
理屈は分かったけど、実際にどう使うの?という方のために、初心者がGitHubを使うべき3つの具体的なシーンと、そのための基本コマンドをご紹介します。
1. 個人のプロジェクトを安全に保管・管理する(バックアップ&タイムマシン)
自分で作ったポートフォリオサイトや、学習中のコードを管理するのに最適です。パソコンが壊れても、GitHubにさえ残っていればデータは安全です。
まずは、自分のPCでプロジェクトのバージョン管理を開始します。この一連の流れを「ローカルリポジトリの作成」と呼びます。
ステップ1: バージョン管理の開始
プロジェクトフォルダで、Gitの監視を開始するコマンドです。「ここをGitの管理対象にするぞ!」と宣言するイメージです。
git init
ステップ2: 変更をセーブの準備
次に、どのファイルをセーブポイントに含めるかを選びます。 `.` は「すべてのファイルとフォルダ」を意味します。これを「ステージング」と呼びます。
git add .
ステップ3: セーブポイントの作成
ステージングしたファイルを、メッセージ付きでセーブ(コミット)します。`-m`に続くメッセージは「何を変更したか」が分かるように具体的に書くのがコツです。
git commit -m "最初のバージョンを作成"
ここまでの作業で、あなたのPC内にプロジェクトのセーブポイントが作成されました。次に、このデータをGitHub上にアップロード(バックアップ)します。GitHub上で保存場所となる「リモートリポジトリ」を作成した後、以下のコマンドを実行します。
ステップ4: ローカルとリモートを接続
あなたのPCのプロジェクトと、GitHub上の保存場所を紐付けます。URLはGitHubでリポジトリを作成した際に表示されるものをコピー&ペーストします。
git remote add origin https://github.com/あなたのユーザー名/あなたのリポジトリ名.git
ステップ5: GitHubへアップロード
ローカルPCで作成したセーブポイント(コミット)を、GitHubにアップロード(プッシュ)します。これで初めて、インターネット上にあなたのコードがバックアップされます。
git push -u origin main
2. チームでの共同作業をスムーズに進める(共同開発の拠点)
複数人で1つのウェブサイトを作る場合、GitHubは絶大な効果を発揮します。誰が・いつ・どこを修正したかが一目瞭然になり、「うっかり人のファイルを上書きしちゃった!」という事故を防ぎます。
ステップ1: プロジェクトのダウンロード
他の人が作ったGitHub上のプロジェクトを、自分のPCに丸ごと複製(クローン)してきます。共同作業はここから始まります。
git clone https://github.com/誰かのユーザー名/誰かのリポジトリ名.git
ステップ2: 最新の状態を取得
作業を始める前に、他のメンバーが更新した最新版のデータをGitHubから取ってきます(プル)。これを習慣づけることで、コンフリクト(変更の衝突)を減らせます。
git pull origin main
共同作業では、「ブランチ(Branch)」という機能が非常に重要です。これは、メインのコードに影響を与えずに、新しい機能の追加やバグ修正を試すための「作業用のコピー」のようなものです。自分の作業は必ずブランチを切ってから行い、完成したらメインに合流(マージ)させるのが基本の流れです。
ステップ3: 新しい作業用のブランチを作成
例えば「新しいヘッダーデザイン」の作業をするためのブランチを作成します。
git branch feature/header-redesign
ステップ4: 作成したブランチに移動
これから行う作業が、新しいブランチに記録されるように切り替えます。
git checkout feature/header-redesign
この後、コードを修正し、コミットし、自分のブランチをGitHubにプッシュします。そしてGitHub上で「プルリクエスト」を作成し、他のメンバーにレビューを依頼します。レビューでOKが出たら、変更がメインのコードに無事マージされる、という流れです。
3. 自分のスキルを証明する(ポートフォリオ公開)
Webクリエーターにとって、GitHubのプロフィールは**最高の履歴書兼ポートフォリオ**になります。あなたがどんなコードを書き、どんなプロジェクトに貢献してきたか(これを「草を生やす」と言ったりします)を、世界中の企業や開発者に見せることができます。
さらに、「GitHub Pages」という機能を使えば、作成したリポジトリを無料でWebサイトとして公開できます。HTML/CSS/JavaScriptだけで作られた静的なサイトであれば、サーバーを契約しなくても、`ユーザー名.github.io`というURLで全世界にあなたの作品を公開できるのです。これは、ポートフォリオサイトを公開する上で非常に便利な機能です。
これだけは気をつけて!よくある誤解と注意点
最後に、初心者が特に注意すべき点をいくつか紹介します。
- 「コミットしたから安心」は間違い
git commitは、あくまで自分のPC内にセーブしただけです。GitHubにアップロードするには、必ずgit pushが必要です。「コミットしたのにGitHubに反映されてない!」というのは、プッシュ忘れがほとんどです。 - 公開範囲を意識しよう
リポジトリには「Public(公開)」と「Private(非公開)」があります。学習中のコードや、まだ見せたくないものはPrivateリポジトリで管理しましょう。(現在は無料アカウントでもPrivateリポジトリを無制限に作成できます) - 機密情報は絶対に入れない!
データベースのパスワードや、APIキーといった秘密の情報を、誤ってGitHubにプッシュしないように細心の注意を払いましょう。一度Publicリポジトリに上げてしまうと、世界中に公開されてしまい、悪用される危険があります。
このような機密情報を誤ってアップロードしないために、「.gitignore」というファイルを使います。このファイルに記述したファイルやフォルダは、Gitの管理対象から除外され、コミットやプッシュに含まれなくなります。
.gitignoreの記述例:
# Node.jsの依存関係フォルダ
node_modules/
# 環境変数を定義したファイル
.env
# 秘密のキーが書かれたファイル
secret_keys.txt
まとめ:GitHubは怖くない!Web制作者の必須ツール
GitHubは、単なるコード置き場ではありません。あなたの制作活動を守り、チームの連携を助け、そしてあなたのスキルを世界にアピールするための強力なプラットフォームです。
最初は黒い画面やコマンドに戸惑うかもしれませんが、今回紹介した基本的な使い方をマスターするだけで、あなたの開発効率と安全性は飛躍的に向上します。まずは自分のポートフォリオサイトを管理することから始めて、少しずつGitHubと仲良くなっていきましょう!