【コピペで動く】PythonとAPIで天気予報CLIアプリを作ろう!初心者でも安心のステップ・バイ・ステップ解説
「プログラミングを始めたけど、何を作ればいいかわからない…」「勉強しているけど、実際に動くものが作れなくて挫折しそう…」
ほんの数ヶ月前の僕も、全く同じ悩みを抱えていました。プログラミング知識ゼロからAIの力を借りて独学を始め、今ではWebサイトを運営できるまでになりましたが、学習初期に一番大事だと感じたのは、「とにかく何かを自分の手で作り上げ、動かす体験」です。
この記事では、プログラミング初心者の方が「動いた!楽しい!」を実感できるよう、Pythonを使って天気予報を教えてくれるシンプルなコマンドライン(CLI)アプリの作り方を、どこよりも丁寧に解説します。
完成イメージはこんな感じです。ターミナル(黒い画面)でコマンドを打つと…?
$ python weather.py Tokyo
[ 東京 (JP) の天気 ]
天気: 晴れ ☀️
気温: 28.5℃ (体感: 29.1℃)
湿度: 65%
風速: 3.1 m/s
難しいことは一切ありません!コピペするだけで、あなたのパソコンでもすぐにこれが動きます。僕が実際につまずいたポイントも正直に共有しながら進めるので、安心してついてきてくださいね。
STEP 1: 冒険の準備をしよう! - 天気APIのキーを手に入れる
まず、天気情報をどこから持ってくるのか?という問題があります。私たちがテレビやスマホで見る天気予報も、気象庁などの専門機関が観測したデータが元になっていますよね。
今回は、OpenWeatherMapというサービスを使います。このサービスが提供するAPIという仕組みを利用することで、世界中の天気データを私たちのプログラムで自由に取得できるようになります。
「APIって何?」と難しく考える必要はありません。今は「プログラムから天気データを取得するための合言葉(鍵)」のようなものだと思ってください。この鍵(APIキー)を手に入れるための手順を解説します。
- OpenWeatherMapのAPIページにアクセスし、「Current Weather Data」の「Subscribe」ボタンをクリックします。
- 無料プランの「Get API key」ボタンを押して、アカウントを作成します(メールアドレスとパスワードなどを設定)。
- 登録が完了すると、ダッシュボードの「API keys」タブに、あなたの専用APIキーが発行されています。この32桁くらいの英数字の文字列が、先ほど説明した「合言葉」です。
【超重要】APIキーは絶対に他人に教えたり、SNSやGitHubで公開したりしないでください!
このキーはあなた専用のものです。もし悪意のある人に知られてしまうと、不正に大量のアクセスをされてしまい、あなたが料金を請求される可能性があります。大切な家の鍵と同じように、厳重に管理しましょう。
STEP 2: 必要な道具を揃えよう! - `requests`ライブラリ
APIキーが手に入ったら、次はPythonからAPIを利用するための道具を準備します。それが`requests`というライブラリです。
ライブラリとは、便利な機能があらかじめセットになった「道具箱」のようなもの。`requests`を使えば、たった数行のコードでWebサイトやAPIにアクセスできます。
お使いのPCのターミナル(WindowsならコマンドプロンプトやPowerShell、Macならターミナル)を開いて、以下のコマンドを実行してください。
pip install requests
`Successfully installed...`のようなメッセージが出れば成功です。これで、天気APIと通信する準備が整いました!
STEP 3: まずはシンプルに動かしてみよう!
いよいよコーディングです。まずは、特定の都市(ここでは東京)の天気を取得する、ごくごく簡単なコードを書いてみましょう。お手元のエディタで`weather.py`という名前のファイルを作成し、以下のコードを貼り付けてください。
import requests
import json
# STEP1で取得したあなたのAPIキーに書き換えてください
API_KEY = "あなたのAPIキーをここに貼り付け"
CITY_NAME = "Tokyo"
# APIリクエストURLを組み立て
api_url = f"https://api.openweathermap.org/data/2.5/weather?q={CITY_NAME}&appid={API_KEY}&units=metric&lang=ja"
try:
# 実際にAPIにリクエストを送信
response = requests.get(api_url)
response.raise_for_status() # エラーがあれば例外を発生させる
# 結果をJSON形式からPythonの辞書型に変換
data = response.json()
# データを分かりやすく表示
print(json.dumps(data, indent=2, ensure_ascii=False))
except requests.exceptions.RequestException as e:
print(f"通信エラーが発生しました: {e}")
except Exception as e:
print(f"予期せぬエラーが発生しました: {e}")
コードを貼り付けたら、`API_KEY = "あなたのAPIキーをここに貼り付け"` の部分を、先ほど取得したご自身のAPIキーに書き換えるのを忘れないでくださいね。
書き換えたら、ターミナルでこのファイルを実行してみましょう。
$ python weather.py
どうでしょうか?下のような、たくさんの文字(データ)が表示されたら成功です!
{
"coord": {
"lon": 139.6917,
"lat": 35.6895
},
"weather": [
{
"id": 800,
"main": "Clear",
"description": "晴れ",
"icon": "01d"
}
],
"base": "stations",
"main": {
"temp": 28.5,
"feels_like": 29.1,
"temp_min": 27.21,
"temp_max": 29.58,
"pressure": 1012,
"humidity": 65
},
"visibility": 10000,
"wind": {
"speed": 3.09,
"deg": 190
},
// ...まだまだ続く
}
これが、OpenWeatherMapから送られてきた「東京の現在の天気データ」の生の状態です。このJSONという形式のデータから、必要な情報だけを抜き出していくのが次のステップです。
【つまづきポイント解説】JSONデータの読み方
JSONは、`{}`(波括弧)と `[]`(角括弧)の組み合わせでできています。
- `{}`: 辞書(オブジェクト)を表します。「キー」と「値」のペアです。例えば `"temp": 28.5` は、「tempというキーに28.5という値が入っている」という意味です。
- `[]`: リスト(配列)を表します。複数のデータが順番に並んでいます。
STEP 4: アプリを本格的に改造しよう!
さて、ここからが本番です。毎回コードを書き換えるのではなく、ユーザーが都市名を入力できるようにし、必要な情報だけを見やすく表示する、CLIアプリらしい形に進化させていきましょう。
今回は、より本格的なCLIアプリを作るため、Pythonの標準ライブラリである `argparse` を使います。これを使うと、`python weather.py Tokyo` のように、実行時に情報を渡せるようになります。
`weather.py` を以下の内容で完全に書き換えてください。APIキーの管理方法も、より安全な形に変えています。
import requests
import argparse
import os
def get_weather_emoji(weather_main):
"""天気の英語名から絵文字を返す"""
if weather_main == "Clear":
return "☀️"
elif weather_main == "Clouds":
return "☁️"
elif weather_main == "Rain":
return "🌧️"
elif weather_main == "Drizzle":
return "🌦️"
elif weather_main == "Thunderstorm":
return "⛈️"
elif weather_main == "Snow":
return "❄️"
else:
return "🌫️" # Mist, Smoke, Haze, Dust, Fog, Sand, Ash, Squall, Tornado
def format_weather_data(data):
"""APIレスポンスを整形して文字列で返す"""
try:
city_name = data["name"]
country = data["sys"]["country"]
weather_description = data["weather"][0]["description"]
weather_main = data["weather"][0]["main"]
emoji = get_weather_emoji(weather_main)
temp = data["main"]["temp"]
feels_like = data["main"]["feels_like"]
humidity = data["main"]["humidity"]
wind_speed = data["wind"]["speed"]
# 見やすいように出力文字列を組み立てる
output = f"[ {city_name} ({country}) の天気 ]\n"
output += f"天気: {weather_description} {emoji}\n"
output += f"気温: {temp}°C (体感: {feels_like}°C)\n"
output += f"湿度: {humidity}%\n"
output += f"風速: {wind_speed} m/s"
return output
except KeyError:
return "天気データの解析に失敗しました。レスポンスの形式が不正な可能性があります。"
def main():
# 1. APIキーを環境変数から取得する
# より安全にキーを管理するため
api_key = os.getenv("OPENWEATHERMAP_API_KEY")
if not api_key:
print("エラー: 環境変数 'OPENWEATHERMAP_API_KEY' が設定されていません。")
print("APIキーを設定してから再度実行してください。")
return # プログラムを終了
# 2. コマンドライン引数を設定する
parser = argparse.ArgumentParser(description="指定された都市の現在の天気情報を表示します。")
parser.add_argument("city", help="天気情報を取得したい都市名 (例: Tokyo)")
parser.add_argument("-u", "--units", choices=["metric", "imperial"], default="metric",
help="温度の単位を指定します ('metric' for Celsius, 'imperial' for Fahrenheit)")
args = parser.parse_args()
# 3. APIにリクエストを送信する
base_url = "https://api.openweathermap.org/data/2.5/weather"
params = {
"q": args.city,
"appid": api_key,
"units": args.units,
"lang": "ja"
}
try:
response = requests.get(base_url, params=params)
# 4xx, 5xx のエラーコードが返ってきた場合に例外を発生させる
response.raise_for_status()
weather_data = response.json()
# 4. 結果を表示する
formatted_output = format_weather_data(weather_data)
print(formatted_output)
except requests.exceptions.HTTPError as e:
if e.response.status_code == 401:
print("エラー: APIキーが無効です。正しいAPIキーが設定されているか確認してください。")
elif e.response.status_code == 404:
print(f"エラー: 都市 '{args.city}' が見つかりませんでした。都市名を確認してください。")
else:
print(f"HTTPエラーが発生しました: {e}")
except requests.exceptions.RequestException as e:
print(f"通信エラーが発生しました: {e}")
except Exception as e:
print(f"予期せぬエラーが発生しました: {e}")
if __name__ == "__main__":
main()
【重要】APIキーの安全な設定方法(環境変数)
コード内に直接APIキーを書くのは危険だとお伝えしました。そこで、プロの現場でも使われる「環境変数」という仕組みを使います。これは、お使いのPC自体にAPIキーを覚えさせておく方法です。
Mac / Linux の場合:
export OPENWEATHERMAP_API_KEY="あなたのAPIキー"
Windows (コマンドプロンプト) の場合:
set OPENWEATHERMAP_API_KEY="あなたのAPIキー"
Windows (PowerShell) の場合:
$Env:OPENWEATHERMAP_API_KEY="あなたのAPIキー"
上記のコマンドをターミナルで実行してください(ターミナルを閉じると設定はリセットされます)。これで、`os.getenv("OPENWEATHERMAP_API_KEY")` というコードがPCに設定したキーを読み込んでくれるようになります。
準備ができたら、実行してみましょう!
$ python weather.py Osaka
見事に大阪の天気が表示されたでしょうか?
今度は、アメリカのニューヨークの天気を華氏(Fahrenheit)で表示させてみましょう。
$ python weather.py "New York" -u imperial
都市名にスペースが含まれる場合は、`"`(ダブルクォーテーション)で囲むのを忘れないでくださいね。温度が華氏(°F)で表示されれば成功です!
わざと間違った都市名を入力したり、APIキーを間違えて設定したりすると、ちゃんとエラーメッセージが表示されることも確認してみてください。これが「堅牢なエラーハンドリング」です。
まとめ: 「動いた!」のその先へ
お疲れ様でした! これで、あなただけのオリジナル天気予報CLIアプリが完成しました。単にコードをコピペするだけでなく、以下の点を学べたはずです。
- APIを使って外部からデータを取得する方法 (`requests`)
- JSONというデータ形式の扱い方
- 安全にAPIキーを管理する方法(環境変数)
- 本格的なCLIアプリの引数の作り方 (`argparse`)
- エラーが起きても止まらない、親切なプログラムの作り方 (`try-except`)
- コードを整理整頓するための関数化
プログラミングの学習は、こうした「小さな成功体験」を積み重ねることが何よりも大切です。今日作ったこのアプリをベースに、「次は複数の都市を一度に表示させてみよう」「一時間ごとの予報も追加してみよう」「結果をLINEに通知してみよう」など、どんどん自分だけのアイデアで改造してみてください。
「動くものを作る楽しさ」を燃料に、これからもプログラミングの世界を冒険していきましょう!
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